DRESS / 着る
手袋のまま留められる
ダッフルコート
寒い日の手から、大きな留め具を見てみる。
NICENESSness 編集 ·
手袋を脱がずに、コートの前を留める。ダッフルコートの大きなトグルには、寒さの中で手を使う人の都合がある。英国の国立陸軍博物館は、手袋をした手や、かじかんだ手でも留められる防寒着として、その形を説明している。
寒い手で、留められること。
棒状の留め具を、輪へ通す。胸元に並ぶトグルを、飾りとして眺める前に、寒い日の指先を思い浮かべてみたい。
国立陸軍博物館が紹介するのは、1944年に製造された一着。ゆとりのある形とトグルを備えたコートは、第二次世界大戦以前から英国海軍の防寒着として使われ、のちに陸軍にも採用されたという。
三つの留め具と、四つの留め具。
グリニッジの海事博物館に残る1939〜40年型には、三つの木製トグルと、喉元を留める部品がある。同館の解説によると、戦争の後半には喉留めをなくし、トグルを四つにした型へ変わった。
一口に海軍のダッフルといっても、前の留め方は同じではない。古い服の細部を読むときは、どの時点の一着なのかが手がかりになる。
海の防寒着が、街の服になる。
海軍では、将校にも水兵にも、悪天候に備える装備として着用が認められていた。階級をまたいで使われた服だったと、海事博物館は紹介している。
戦後には余剰品が販売され、Gloverallによる製造も始まる。1950〜60年代には、海軍の装備だった形が民間のファッションへと広がっていった。
冬の街で目にする大きな留め具。その形を、かじかんだ手でも服を閉じたいという動作から見直すと、見慣れたコートが少し違って見える。
そして、いまの服へ。
留め具を外して、裏返す。
NICENESSのDEVOLLEは、英国海軍のウールコートと各国のダッフルを参照したコート。トグルを着脱できるようにし、表裏で異なる色やディテールを楽しめるリバーシブルの形にしている。
博物館に残る一着を直接の原型とした説明はない。軍用コートの歴史と、NICENESSが述べる参照先・再設計は、分けて読んでおきたい。
NICENESS / AW24DEVOLLE →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- Duffel coat, ZBA9859 ↗Royal Museums Greenwich/National Maritime Museum
- Duffle coat, universal pattern, dated 1944 ↗National Army Museum
NICENESSのものづくり
- NICENESS DEVOLLE ↗NICENESS
- NICENESS H.PIERRE ↗NICENESS
- NICENESS PIERRE ↗NICENESS
- NICENESS R.WETTON ↗NICENESS
- NICENESS WETTON ↗NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。