DRESS / 着る
背中の裾を前で留める
デニソンスモック
空から降りる人のための、スモックの工夫。
NICENESSness 編集 ·
戦闘服の上に、もう一枚を着る。英国の空挺兵が使ったデニソン・スモックは、そうした重ね着を前提とする服だった。大きな身頃に、途中まで開く前ファスナー。初期の型は、頭からかぶって着るつくりになっている。
上から着るから、大きくつくる。
初期のデニソンを紹介する英国の博物館の解説では、1942年型の大きな裁断は、戦闘服の上に着るためのものとされている。ゆとりのある身頃を、まず「何の上に着たのか」から見ると、形の理由が見えてくる。
垂れた裾にも、仕事がある。
背中側から長く延びた裾を、股の下へ通し、前で留める。デニソンには、そんな一見不思議なつくりがある。
これは降下の際に暖かさを保ち、服の内側へ風が入り込むのを抑えるため、と博物館は説明している。背中から回す裾を、風にさらされる身体と一緒に考える。その細部が、着る人の動きや環境と結びついてくる。
前の開き方も、変わっていく。
1959年型になると、前は全開のファスナーに変わり、形も従来より身体に沿うものになった。頭からかぶる初期型とは、着脱の仕方が変わる。
同じデニソンという名でも、形は一つではない。重ね着のゆとり、風を抑える裾、前の開き方。年代をたどりながら細部を見ると、「スモック」という名前だけでは見えなかった違いが分かる。
服の形を、着る人の身体と動きから見てみる。大きさにも、長さにも、開き方にも、用途を考える手がかりがある。
そして、いまの服へ。
スモックの形を、ラム革で。
NICENESSのWILLIは、1950年代の英国とフランスのスモックを着想源にしている。大判のラム革で接ぎ目を減らし、前はファスナーに。ブランドは、着脱を容易にするためのつくりと説明する。
ここで見たデニソンと、WILLIが直接参考にしたスモックが同じ型かどうかは、まだ分かっていない。
NICENESS / SS23WILLI →このアイテムのつくりを見るNICENESS / SS23TREECE →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- Denison and Parachute Smocks ↗Airborne Assault Museum
- The History and Demise of the Denison Smock ↗Jon Baker / Airborne Assault Museum
NICENESSのものづくり
- NICENESS WILLI(アーカイブブック)NICENESS
- NICENESS TREECE(アーカイブブック)NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。