MAKE / つくる
ヨーク裏に山と湖を写す
絣のジャケット
水面に映る山から、服の内側に置かれた風景へ。
NICENESSness 編集 ·
山の姿と、水面に映った姿が違う。北斎の《甲州三坂水面》を紹介する所蔵館は、河口湖の夏の富士と、湖面に映る雪の富士を対比している。風景の絵は、目の前の景色をそのまま二つにするだけではない。
水の上で、別の季節が見える。
1830〜32年頃の木版多色刷には、山とその反映を見比べる楽しさがある。湖面というもう一つの面を通して、同じ山に違う姿が生まれる。図像の細部から、風景の組み立て方を眺められる。
湖には、写真と巡拝の記録も。
山梨県立富士山世界遺産センターは、本栖湖を岡田紅陽の《湖畔の春》の景観として紹介し、富士講の内八海巡りの巡拝地とも記す。同じ土地にも、写真を見る入口と、人が訪れる歴史の入口がある。
風景を、見えにくい場所に置く。
NICENESSはK.SAVILLEのヨーク裏の形状などに、富士山と湖の風景を写したと説明する。布の表に絵を載せるだけでなく、服の構成の中へ景色を移す。内側を見ることで出会う風景だ。
水面に映す、写真に収める、服の裏へ置く。同じ山の景色も、どこに写すかで見る仕方が変わる。
そして、いまの服へ。
久留米絣の形に、風景への願いを。
K.SAVILLEは久留米絣を使ったフジジャケット。山と湖をヨーク裏などに映し、ブランドは縁起物への願いを込めたと説明する。
北斎の版画や岡田紅陽の写真がK.SAVILLEの原図とは未確認。巡拝地としての歴史と、現代商品の縁起という意味付けも区別している。
NICENESS / SS26K.SAVILLE →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- 冨嶽三十六景 甲州三坂水面 ↗東京富士美術館 / 文化遺産オンライン
- 構成資産・構成要素一覧 ↗山梨県立富士山世界遺産センター
NICENESSのものづくり
- NICENESS K.SAVILLE ↗NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。