CARRY / 運ぶ

自転車の両側に提げる
新聞配達バッグ

届ける量が変わると、運び方も変わる。

NICENESSness 編集 ·

1929年、カナダのコキットラム周辺で新聞を配っていたアントニオ・パレは、日曜日の配達をこう振り返っている。たくさんの新聞を、自転車の座席の左右の二つの袋へ。自転車には乗らず、押して運んだという。

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同じ配達でも、日曜は違う。

パレの回想では、平日と日曜日で新聞が届く便や配達時刻、顧客数が違っていた。日曜には紙の量が増え、その量が運び方を左右した。

二つの袋と、押して歩く自転車。ここに見えるのは、一人の配達者が、多くの新聞を運ぶためにとった方法だ。すべての配達がこの形だったわけではないけれど、袋の使い方を仕事の量から考える手がかりになる。

座席新聞の袋新聞の袋
座席の両側に袋を置く運び方の模式図。実際の袋の形・寸法は示していません。
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袋は、仕事と一緒に残っている。

米国にも、新聞を運ぶ袋の記録がある。ミシシッピ州の1920年代の写真目録には、袋を持ったウォルター・ウェルティと、『サタデー・イブニング・ポスト』の販売が記されている。

メリーランド州公文書館には、Green Haven Hashの新聞運搬袋が残る。目録に記された年代は1937〜41年。素材はキャンバスとインクとされている。

売る人が持つ袋、配達で自転車に載せる袋、キャンバスの現存品。一つの型へまとめる前に、それぞれがどこで、どんな仕事に使われたのかを見ておきたい。

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どう持つかは、何を運ぶかとつながる。

新聞袋を「肩から掛ける形」だけで覚えてしまうと、パレの二つの袋は見えなくなる。運ぶ量や、その人の仕事の仕方によって、袋の使い方にも違いがある。

ただ、ここに挙げた記録から、現代の新聞配達バッグにあるベルトや蓋の一つひとつの起源までたどれるわけではない。分かるのは、日曜の紙量が、一人の配達者の運び方を変えたこと。その小さなつながりから、道具を見る目を始められる。

袋だけを眺めるときも、その中に何を入れ、どんなふうに運んだのかを想像してみる。形の向こうに、仕事の手順が見えてくる。

そして、いまの服へ。

肩に掛ける。手でも持つ。

NICENESSのHEFNERは、1920〜30年代の新聞袋と郵便バッグを参照したバッグ。ショルダーストラップを内側へ収めると、手持ちにもなる。AW25のHEFNERでは、両端のベルトで開口部を調整し、フラップを保持できるようにしている。

パレが使った袋を直接の原型とする説明はない。新聞を運んだ道具の歴史と、現代の持ち方の工夫を並べて読む接点になる。

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出典・参考資料

暮らしと服の歴史

NICENESSのものづくり

回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。

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