DRESS / 着る

直線に裁って身体にまとう
着物

布の形と、着るときの調整。その間にある工夫。

NICENESSness 編集 ·

まっすぐに縫われた布を身体にまとい、帯の下で丈を調整する。着物では、仕立てた形だけでなく、着るときの動作も服の姿をつくっている。身体に沿わせるための工夫を、まずその着方から見てみよう。

01

長方形を、服にする。

武庫川女子大学の2001年の和服実習では、反物を長方形に裁ち、縫い代や縫い込みを切り捨てずに長着をつくる方法が教えられている。

布を裁たないのではなく、裁ったあとにも内側へ布を残す。現代の授業に記されたこの方法から、表に見える線と、その内側に収まる布を一緒に考えられる。

02

着るときにも、形を整える。

V&Aの解説では、着物は直線の縫い目を持ち、帯の下へ布をたくし上げて丈を調整する衣服として紹介されている。

縫い上がった輪郭だけを見ていては、着た姿はまだ分からない。布をどこで折り、どう収めるのか。仕立てと着装の両方に目を向けると、直線でつくられた服の見方が広がる。

03

着やすさを、別のつくりで考える。

終戦から1950年代の着物を扱う小形道正の研究には、洋裁の原型やウエストの切替、ダーツを取り入れたワンピース型の改良着物が登場する。

着物を日々の服としてどう着るか。その問いには、構成を変える提案もあった。ただし、提案されたことと、広く着られたことは別だ。研究でも、その違いは区別されている。

まっすぐに裁つ線と、布を身体へ収める動き。着物の形は、その二つを行き来しながら読むことができる。

そして、いまの服へ。

袖山の丸みを、取り去ってみる。

NICENESSのTHORNHILLは、着物に通じる直線的な構成をブルゾンに取り入れた一着。ブランドは、袖山の丸みを取り除いたシルエットと説明している。着物の見方が、洋服の袖の線へつながる。

参照した着物の種類や年代、具体的な型紙は明らかでない。ここで紹介した戦後の改良着物が、THORNHILLの直接の着想源だという説明もない。

NICENESS / SS26THORNHILL →このアイテムのつくりを見る

出典・参考資料

暮らしと服の歴史

NICENESSのものづくり

回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。

次は、どんな暮らしへ。