DRESS / 着る
所属をまとって入場する
トラックスーツ
走るためだけでなく、誰としてそこに立つのかを表す服。
NICENESSness 編集 ·
試合は、まだ始まっていない。それでも、上着はすでに選手の所属を伝えている。1972年のFA杯決勝でジャック・チャールトンが入場時に着たのは、Umbro製のLeeds Unitedのトラック上着だった。
競技の外でも、代表でいる。
1972年ミュンヘン大会のスイス柔道選手キブルツの上着には、競技の図像と国名が記されている。五輪博物館に残るNabholz製の一着だ。柔道の試合中に着る服とは違う場所で、競技と代表団を示す役割を持っていた。
ジャージーを、素材から見直す。
adidasの社史によれば、1972年の西ドイツ五輪代表向けトラックスーツは、洗濯できるバージンウール100%。男女別のデザインが使われたという。トラックスーツという名前から一つの素材を思い浮かべても、当時の一着はそれを軽く外してくる。
スタジアムから、家族の時間へ。
同社は1970年代、フランスでトラックスーツを家族の余暇着として売り出したとも振り返る。競技の前後に着る服が、競技のない日の選択肢になる。これは一社の展開の記録だが、服の使い道が広がる様子を具体的に見せてくれる。
運動、入場、余暇。同じ上下の服が、異なる時間を行き来する。その場面ごとに、見えてくる役割も変わる。
そして、いまの服へ。
1970年代の組織を、いまの生地で。
NICENESSのBERLINは、1970年代のトラックスーツに着想したパンツ。スビン綿とポリエステルの別注ジャージーを使い、裾裏やポケット口にグラフィックテープを配している。動きに沿う服の構成と、表情をつける意匠を一緒に見られる。
紹介した代表衣料やメーカーの製品がBERLINの直接の原型とは未確認。商品名をミュンヘン五輪やドイツに由来するものとも断定していない。
NICENESS / AW25BERLIN →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- Munich 1972, training jacket from Frédéric KYBURZ / 238937 ↗Olympic Museum
- Object of the Week: Jack Charlton’s tracksuit ↗National Football Museum
メーカーが伝える来歴・つくり
NICENESSのものづくり
- NICENESS BERLIN ↗NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。