DRESS / 着る

獲物用の裏地を引き出せる
ハンティングコート

運ぶだけでは終わらない。狩りのあとに手入れするための工夫。

NICENESSness 編集 ·

ポケットは、物を入れる場所。その中に何を入れ、使ったあとにどうするかまで考えると、形はもっと複雑になる。1929年の米国特許には、獲物を入れる大きなポケットと、洗うために引き出せる裏地を備えたコートがある。

01

二枚の間が、収納になる。

特許が記すのは、二重のキャンバスの間を獲物用のポケットにする設計。外側に袋を一つ付けるだけではなく、衣服の層そのものを収納として使う。何を運ぶのかを考えることで、コートの表と裏の間にも役割が生まれている。

02

下に着た服を、汚さないために。

考案者はポケットの下部に油布などの裏地を置き、獲物の血液が下の衣服へ染み出すのを防ぐと説明する。さらに裏地は引き出して洗える。収納力に加えて、持ち帰る間の汚れと、そのあとの手入れまで設計に含まれていた。

03

藪を抜けるという、もう一つの条件。

L.L.Beanは、自社のフィールドコートを1924年にMaine Duck Hunting Coatとして導入し、メイン州の藪や枝に耐えるためだったと振り返る。こちらは別の服の来歴。獲物を運ぶ工夫と草木の中を進む工夫を並べると、狩りの服に求められる場面の多さが分かる。

運ぶ、汚れを受け止める、洗う。ポケットの奥には、使い終わったあとの時間まで含まれている。

そして、いまの服へ。

狩猟服の細部に、使った跡を重ねる。

NICENESSのN.FIELDINGは、1920〜60年代の英米のハンティング衣料から二重の前身頃、丸い襟、ポケットを参照。杢糸のギャバジンに汚れや補修跡を転写し、形だけでなく使われた表情も衣服に重ねている。

1929年の特許は設計の記録で、普及の証明ではない。N.FIELDINGの二重前身頃がこの特許と同じ収納・洗浄機構を持つとも確認していない。

NICENESS / AW26N.FIELDING →このアイテムのつくりを見る

出典・参考資料

暮らしと服の歴史

メーカーが伝える来歴・つくり

NICENESSのものづくり

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