DRESS / 着る

作業の背中に掛かる

服の形を変えなくても、身につけ方は変えられる。働く姿に残る紐の存在から。

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糊をする人の姿に、鉢巻と襷が描かれている。千葉県立中央博物館が解説する職人図の一場面だ。服だけを取り出すよりも、手を動かす姿のなかで見ると、装いの細部が気になってくる。

01

手を動かす姿とともに

博物館の解説は、親方の妻が鉢巻と襷掛けで糊をする姿を伝える。ここで確かに見えるのは、襷と作業の結びつきだ。資料の本文だけから、紐の通り道や背面の形までは決められない。

02

絵のなかの仕事着

国文学研究資料館が紹介する別の図にも、作業する女性たちの赤襷と揃いの前垂れが見える。ただし同館は、風俗描写の正確さを保証できないと留保している。描かれた姿を手がかりにしながら、絵をそのまま当時の生活の規則にしないで見ておきたい。

03

布の構成から、背中へ

日本政府広報は、着物を一反から身頃と袖を構成する衣服として、西洋服の立体裁断と対比している。衣服をどう組み立てるかと、身につけたあとにどう扱うか。その二つを並べて見ることは、現代の服の背面を読む入口にもなる。

着方の記憶は、服の輪郭だけでなく、人が動く背中にも残っている。

そして、いまの服へ。

いまの服へ、この工夫を。

DEL(SS26)は、1970年代のスポーツ用フーディーを参照しながら、襷掛けの背面から着想した独自の裁断を取り入れたもの。公式説明は、二枚構成のフードと旧式Azuma編機による丸胴裏毛にも触れる。着用時に生まれる背中の像が、服を組み立てる発想へ移されている。

襷の掛け方や、DELのどの切替線が背面像に対応するかは未確認。年代の分類は公式が挙げるフーディーの参照年代であり、襷の起源年代ではない。

NICENESS / SS26DEL →このアイテムのつくりを見る

出典・参考資料

暮らしと服の歴史

NICENESSのものづくり

回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。

次は、どんな暮らしへ。