DRESS / 着る
作業の背中に掛かる
襷
服の形を変えなくても、身につけ方は変えられる。働く姿に残る紐の存在から。
NICENESSness 編集 ·
糊をする人の姿に、鉢巻と襷が描かれている。千葉県立中央博物館が解説する職人図の一場面だ。服だけを取り出すよりも、手を動かす姿のなかで見ると、装いの細部が気になってくる。
手を動かす姿とともに
博物館の解説は、親方の妻が鉢巻と襷掛けで糊をする姿を伝える。ここで確かに見えるのは、襷と作業の結びつきだ。資料の本文だけから、紐の通り道や背面の形までは決められない。
絵のなかの仕事着
国文学研究資料館が紹介する別の図にも、作業する女性たちの赤襷と揃いの前垂れが見える。ただし同館は、風俗描写の正確さを保証できないと留保している。描かれた姿を手がかりにしながら、絵をそのまま当時の生活の規則にしないで見ておきたい。
布の構成から、背中へ
日本政府広報は、着物を一反から身頃と袖を構成する衣服として、西洋服の立体裁断と対比している。衣服をどう組み立てるかと、身につけたあとにどう扱うか。その二つを並べて見ることは、現代の服の背面を読む入口にもなる。
着方の記憶は、服の輪郭だけでなく、人が動く背中にも残っている。
そして、いまの服へ。
いまの服へ、この工夫を。
DEL(SS26)は、1970年代のスポーツ用フーディーを参照しながら、襷掛けの背面から着想した独自の裁断を取り入れたもの。公式説明は、二枚構成のフードと旧式Azuma編機による丸胴裏毛にも触れる。着用時に生まれる背中の像が、服を組み立てる発想へ移されている。
襷の掛け方や、DELのどの切替線が背面像に対応するかは未確認。年代の分類は公式が挙げるフーディーの参照年代であり、襷の起源年代ではない。
NICENESS / SS26DEL →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- 日本実業史博物館準備室旧蔵資料 ↗国文学研究資料館
- 職人に関する作品 ↗千葉県立中央博物館
- Aesthetic Essentials: Kimono ↗Government of Japan
NICENESSのものづくり
- NICENESS DEL ↗NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。