DRESS / 着る
織物の表情を着る
チマヨジャケット
織る人、売る人、着る人。その間を旅したニューメキシコの布。
NICENESSness 編集 ·
土地で織られた布が、そこを訪れる人の服になる。チマヨの織物の歴史を扱う文化財登録資料には、織り手と消費者の間を商人がつなぎ、観光の需要によって布がコートなどへ展開したことが記されている。
布が、上着になる。
Autry博物館のチマヨ製ウールジャケットは、解説では1936年頃の品。レイ・ホイットリーが巡業や映画で着用したという。一つの地域でつくられた上着が、移動する人とともに別の場所へ現れる。その動きも、この服の歴史の一部だ。
袖口にも、襟にも、布の表情。
その一着にはラグラン袖、折り返した袖口、前の貼り付けポケットがあり、襟端にはフリンジが付く。模様だけを眺める時とは違い、どこを折り返し、どこを端として見せるのかに目を向けると、織物が服へ変わる細部を楽しめる。
売られた名前と、つくる人の言葉。
文化財資料には、チマヨの織物が旅行者に「Indian」として売られた例も記されている。一方、現代の織り手アーヴィン・トルヒーヨは、自作が自身のヒスパニックの歴史や文化を表す場合があると語る。販売上の呼び名と、作り手の自己紹介は分けて聞きたい。
地域の名前だけで、作り手も着る人も一つにはくくれない。布が誰の手を通って服になったのか。その道のりに目を向けてみる。
そして、いまの服へ。
チマヨの上着を、シルクと綿で。
NICENESSのSTEPHENSは、1930年代のチマヨジャケットを参照し、野蚕シルク系の身頃と綿コーデュロイを組み合わせたインド製の一着。ニューメキシコの服への着想と、現在の素材・製造地を分けて眺められる。
Autry所蔵品を直接の原型とは確認していない。ブランドの「インディアンジャケット」という呼称から、歴史上の作り手や着用者の文化帰属を確定することはできない。
NICENESS / AW24STEPHENS →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- jacket 88.24.1 ↗Autry Museum of the American West
- Chimayo Trading Post and E. D. Trujillo House, National Register nomination ↗National Park Service
メーカーが伝える来歴・つくり
- Irvin Trujillo ↗Centinela Traditional Arts / Irvin Trujillo
NICENESSのものづくり
- NICENESS STEPHENS ↗NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。