MAKE / つくる

町の動作を描き集めた
北斎の絵手本

餅をつく、飴をつくる。人の仕事が、描くための手本になる。

NICENESSness 編集 ·

餅をつく人、飴をつくる職人、角兵衛獅子。『北斎漫画』の初編には、江戸の町の営みが描かれている。服に載った柄の向こうをたどると、まず人が何をしている姿なのかに目が向く。

01

描く人のために、姿を集める。

島根県立美術館は、北斎の絵手本を、絵を学ぶ門人や私淑者のための出版物として紹介している。北斎は工芸の図案集も手がけた。

『北斎漫画』に収められているのは人物だけではない。動植物、建物、日用品、風景。描く対象を探し、形を学ぶためのさまざまな手がかりが、本の中に集まっている。

02

町の仕事が、線になる。

すみだ北斎美術館の初編の紹介には、角兵衛獅子や飴職人、餅つきの図が挙げられている。人の姿を眺めるとき、その手足だけでなく、何をしているのかにも目を向けてみたい。

仕事や芸能の動作が、描く人の手本になる。図を一つの装飾として見る前に、そこに収められた営みから読み始められる。

03

同じ初編でも、刷られた時期は違う。

初編の刊行は1814年。全十五編がそろったのは、北斎没後の1878年だった。長い時間をかけて刊行された本でもある。

江戸東京博物館が所蔵する初編の一冊は、天保頃、1830〜1844年の版本として登録されている。「初編」という巻の名前と、その一冊が刷られた時期を分けて見ると、柄の出典をたどる道筋も丁寧になる。

服の上の図から、本の中の人へ。その人がしている仕事や動きを読むと、柄は単なる飾りから、暮らしを知る入口へ変わっていく。

そして、いまの服へ。

描き集めた姿を、シャツの柄へ。

NICENESSのBANGALTERとCHRISTOは、『北斎漫画』をもとにした独自の柄を、細番手のブロードへプリントしたシャツ。絵手本の参照を、いま着る布へと移している。

採用した巻・図・刊行版は明示されていない。ここで挙げた餅つきや飴職人が、そのまま商品の柄に使われているとは確認できていない。

NICENESS / SS26BANGALTER →このアイテムのつくりを見るNICENESS / SS26CHRISTO →このアイテムのつくりを見る

出典・参考資料

暮らしと服の歴史

NICENESSのものづくり

回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。

次は、どんな暮らしへ。