MAKE / つくる
曲がった滴形を織り込む
ペイズリーショール
肩にまとう布が海を渡り、柄の名前も変わっていく。
NICENESSness 編集 ·
肩を覆う布に、先端の曲がった滴のような形が並ぶ。いまペイズリーと呼ばれる柄をたどると、カシミールでつくられ、ヨーロッパへ渡ったショールに行き着く。柄の名前には、布をつくる町と、まとう人の流行が重なっている。
遠くで織られた布を、肩にまとう。
RISD美術館によると、カシミール製ショールは18世紀半ばからヨーロッパへ輸入され、1790年代末には上層の女性たちの間で流行した。
誰がどこで織り、誰がまとうのか。一枚の布の製作地と着用地は、同じとは限らない。
織物の町が、柄の呼び名になる。
ヨーロッパでは、機械織りの模倣品もつくられた。その生産地の一つだったスコットランドのペイズリーという地名がショールの通称となり、20世紀初めまでには柄自体の名前にもなったと、RISD美術館は説明する。
インドやペルシアでbuta、botehと呼ばれる形の由来には、複数の説がある。ペイズリーという名前だけから、文様の生まれた場所や意味を一つに決めることはできない。
別の布に見えても、一枚で織る。
メトロポリタン美術館に残る1830〜50年のショールには、二色の外縁がある。別布を接いだように見える部分も、一枚に織られているという。製作地はスコットランドの可能性があるとされている。
柄を見る楽しみは、形を見分けることだけではない。その境目がどうつくられたのかにも、織る人の仕事が残っている。
柄が海を渡ると、つくり方や呼び名も動いていく。ペイズリーの曲線を、一つの起源の記号ではなく、布の移動と仕事の重なりとして眺めてみたい。
そして、いまの服へ。
大きな一枚の柄を、服にする。
NICENESSのDASとGYANは、葵・笹蔓・羊歯・雲の文様を混ぜた独自のペイズリーを、大判の綿布へ手捺染した服。DASはパーカ、GYANはトラッカー型へと構成している。
歴史上の特定のショールやバンダナを、そのまま原図にしたという説明はない。カシミールのショール史と、NICENESSが組み合わせた現代の柄は区別して見たい。
NICENESS / SS25DAS →このアイテムのつくりを見るNICENESS / SS25GYAN →このアイテムのつくりを見る出典・参考資料
暮らしと服の歴史
- What's in a Name? The Paisley Pattern in Kashmir Shawls ↗RISD Museum/Madelyn Shaw
- Shawl 2009.300.2963 ↗The Metropolitan Museum of Art
NICENESSのものづくり
- NICENESS DAS ↗NICENESS
- NICENESS GYAN ↗NICENESS
回想は本人の経験として、制作意図はブランドの説明として扱っています。